だいこくさまのものがたり

イナバのシロウサギ

医薬の神、救いの神

　有名な稲羽の海岸でシロウサギを助けた話です。ワニザメをだましたウサギが丸はだかにされて泣いているとき、稲羽国（いなばのくに）の八上比売（やがみひめ）へ求婚しに行く途中だった大国主命（おおくにぬしのみこと）の兄神たちは、海水に浸り風にあたって横になれば治るといって立ち去りました。

　ところが海水が乾いてくると塩で肌はひきつれ、治るどころかただれてしまい、あまりの痛さにウサギは泣き伏してしまいました。そこへ兄神たちの荷物を負わされた大国主命が通りかかり、河口の真水で身体を洗い蒲黄（がまのはな）（花粉）を敷いてその上に寝転べばかならず治りますよ、とおしえます。こうしてたちまち回復したウサギは実は稲羽国の兎神で、命こそ八上比売への求婚に成功するでしょう、と予言をします。これによって大国主命が医薬の神であり、救いの神でもあったことを物語っているのでした。